ソーシャルレンディングの説明としてよく耳にするのは
ですが、現在の日本のSLは個人ではなく企業へ融資する案件がほとんどなので、
と表現したほうが妥当でしょう。
さらに詳細に表現するなら、お金を借りたい企業にお金を貸すのがソーシャルレンディング会社であり、貸すためのお金を出資するのが私たち投資家であると言えるので、私たちから見たソーシャルレンディングを正確に表すと、
ソーシャルレンディングとは、
高利の貸金業者に無担保で出資することである
と解釈することが出来ます。ちょっとエグい感じです(;´∀`)
私たちは当事者ではない!?
企業と投資家を繋げるとは謳っても、両者の間に金銭消費貸借契約書または借用証書が直接作られる訳ではないので、仮に借手企業の返済が滞ったとしても我々投資家はそれを解決する手段を持ちません。
つまり厳密には当事者ではないということになります。
この件で問題となるのは、当事者である借手企業と貸手企業(SL会社)のやり取りについての情報開示、それらを判断するための透明性が当事者ではないが出資者である我々投資家に対して保たれているか?という点にあります。
透明性が一定水準以上でないと外部監視という抑止力がまったく働かず、当事者同士が密室でどうにでも都合よく調節することが可能になるのですが、現在のSLでは金融庁指導の匿名化という弊害がありシステム的に不正とも取れる行為を行いやすい形となっています。
しかし当事者でないおかげで、煩わしい業務に関わること無く利益を得る機会を獲得しているというメリットを享受していることも忘れてはなりません。
事業者のデフォルトが最大リスク
先の弊害が原因となり引き起こされたのが、みんクレ&ラキバン事件と言えるでしょう。借手企業と貸手企業(SL会社)が親族企業であり、匿名化を隠れ蓑に当事者間で都合良く調節していたところを金融庁に指摘され、都合の良い形でしか回すことが出来なかった業務を必然的に停止せざる得なくなったために事業者のデフォルトを引き起こしてしまったと言えます。
我々がSL事業者へお金を渡している行為は、お金を貸しているのではなく出資しているという事になるので、仮にSL事業者がデフォルトとなっても我々投資家への返済義務は無く担保設定も無いので資産を換金して運用資金の損失に当てることは期待出来ません。
不正があったとしても、それを正すための法整備や金額的に保証するための担保などの保全処置がまったくない(分別管理はまたの機会に)
これが現状のソーシャルレンディングの最大の問題点であるかもしれません。
しかし、ソーシャルレンディングはこのようなリスクをはらみながらも優れた道具としての本質も持っています。要はそれを悪用する者が現れたり、ふいに悪用出来てしまう機会に気づいてしまうのが根本原因と言えなくもなく、誠実な事業者は自社規制で対応してますが、根っこから根絶するにはフィンテックに合わせた法整備に期待するしかありません。
事業者のメリットを見極めることが保全になる
法整備が待たれるSL業界ですが、それまでの判断基準としては、
ソーシャルレンディングで不正を働くよりも、ソーシャルレンディング事業を継続して続ける方がメリットが有る
このような経営状態にある事業者は先のような事件との関連性は低いと言えるでしょう。
実例としてクラウドバンクを上げますと、過去2度に渡り金融庁から指導されていますがその都度改善を行いSL業界へ復帰しています。これはクラウドバンクが証券会社であるという信用性もあると思いますが、何よりSL業界へ復帰する方が会社的にメリットがあるという元々の体制がそうさせたのでしょう。クラウドバンクについては下記ページ参照して下さい。
他にはオーナーズブックは運営母体がマザーズ上場企業ですので、コーポレート・ガバナンスは一般企業よりも高いですし株主からの圧力もあるので、先のような不正は行いにくいと考えられます。経営陣は大株主なので何かあったら経営陣個人の資産にも損失を与えます。オーナーズブックについては下記ページを参照して下さい。
まずは事業者を見極めるための情報収集と洞察力を鍛えるのがソーシャルレンディング投資の第一歩と言えるかもしれません。
これからソーシャルレンディングを始める方には、最初から重い話になってしまいますが冒頭でもお伝えしたことに一つ加えて、
ソーシャルレンディングとは、
高利の貸金業者に無担保で出資することである
不正を行うより
事業継続することが最大のメリット
という体制の貸金業者を見極めることが
私たちの取れる保全処置の一つ
と最初からちょっとエグい感じに根本を理解しておけば、悪い意味で調子に乗ることなく慎重な投資を進められる可能性が高くなるでしょう。
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